真言密教の開祖、弘法大師空海様の自身の著作、『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』の中で弘法大師空海様は次のようにお説きになられている。
「この生に悪業を作って後にまさに三途(さんず)に堕(お)つべし。
三途の苦は劫を経ても免れがたし。
如来の慈父この極苦を見てその因果を説きたもう。
悪の因果を説いてその極苦を抜き、善の因果を示してその極果を授く。」
真言宗開祖 弘法大師空海
仏陀像
書籍『ブッダのおしえ 初期経典をたどって アンドレ バロー著 富樫瓔子訳 大東出版』の中で『仏為首迦長者説業報差別経』というお経が紹介されており、そのお経の中で、善因善果、悪因悪果の因果の法則の具体的な内容が説かれているので以下、紹介する。
「生き物を短命に終わらせる可能性のある十種の行為がある。
その十の行為とは、
自身で殺生を犯すこと、
他者をそそのかし、殺生をさせること、
殺生を称賛すること、
殺生を見て喜びを感じること、
憎んでいる相手の死を望むこと、
敵の死を見て喜びを感じること、
他者の妊娠を中絶させること、
人を傷つけるよう命ずること、
生あるものを生贄(いけにえ)として神殿に捧げること。
戦い、傷つけあい、殺しあうよう、人々に命ずることである。
これらの十の行為により、人は短命を得る。
また、生き物に長寿を得させる可能性のある十の行為がある。
それは、自身が殺生をしないこと、
他者に殺生をせぬよう勧めること、
不殺生を称賛すること、
他者の不殺生を見て喜びを感じること。
殺されようとしている他者を見て救おうと力を尽くすこと。
死を恐れている他者を見て、その心を安らげること。
恐怖に怯える人を見て安心感を与えること、
悲嘆にくれる人を見て、思いやりの気持ちを起こすこと。
苦境に落ちた人を見て、大きな憐れみの気持ちを起こすこと。
生き物に食べ物や飲み物を与えることである。
これらの十の行為により、ひとは長寿を得る。
また卑しい身分を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは好ましく振る舞う人に腹を立てる事、
善意の人を憎むこと。
他者を欺く。
父母に敬愛の念を覚えぬないこと。
徳の高い人や聖者に敬意を示さないこと、
徳の高い人や聖者の個人的な財産を奪うこと、
スットゥーパー(仏舎利塔)の灯を消すこと。
卑しめられる身分にある人を見てわざと卑しめること。
悪行を実践する事である。
これらの十の行為により、ひとは卑しい身分を得る。
また、生き物に尊敬すべき身分をもたらす可能性のある十の行為がある。
それは怒らぬこと。
衣を施すこと。
父母を敬愛すること。徳の高い人や聖者を敬うこと、
仏陀の舎利塔を塗り飾ること。
仏の説教の行われる講堂を掃き清め、洗い清めること。
僧院を洗い清めること
仏陀の舎利塔を掃き洗い清めること。
卑しい身分にある人々を見ても、卑しめず敬意を抱くこと、
尊敬すべき身分にある人を認めて、彼らが前世で積んだ行為に思いを致す事である。
これらの十の行為により、ひとは尊敬すべき身分を得る。
また、貧しい一生を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは自身で盗みを働くこと、
他者に盗みをそそのかす事、
盗みを称賛すること、
盗みを見て喜ぶこと、
父母のなりわいを妨害すること。
徳の高い人や聖者の個人的な財産を横領すること。
他者が利を得るのを見て不服を覚えること、
他者が利を得るのを妨げるために難題を持ちだすこと、
他者が施しをするのを見て喜びを感じぬこと、
飢えた人々を見て、哀れみではなく喜びを抱く事である。
これらの十の行為により、ひとは貧しい一生を得る。
また、裕福な一生を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは盗みを差し控えること。
他者に盗みをせぬよう勧めること、
盗まないのを称賛すること、
他者が盗みをしないのを見て喜ぶこと。
父母のなりあいを手助けすること。
徳の高い人や聖者が必要とするものを供給すること、
他者が利を得るのを見て喜びを覚えること、
他者が利を得ようとするのを見て、その援助に尽力すること、
施しを幸せとする人を見て喜びを覚えること。
飢えた人々を見てを感じることである。
これらの十の行為により、ひとは裕福な一生を得る。
また、誤った認識を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは賢く知恵ある修行者やバラモンに相談したり尋ねたりしようとせぬこと
間違った教義を公然と説くこと。
正しい教えを受け入れ、守り深めようとしないこと。
不確実な教義を、あたかも確実なように見せかけ、賞賛すること、
ほとんど、あるいは全く仏法について話さぬこと。
誤った認識に慣れ親しむこと
正しい認識から遠ざかること、
誤った見解を称賛すること、
正しい見解を捨てること。
おろかな悪人を見て貶しさげすむ事である。
これらの十の行為により、ひとは誤った認識を得る。
また、正しい認識を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは賢く知恵ある修行者やバラモンに相談したり尋ねたりしようとすること。
正しい教義を解き広めること。
正しい教えを聞き、守ること
確実な教義が説かれるのをそれを良いといい賞賛すること。
正しい教えを喜び持って説くこと
正しい認識の持ち主と親しくすること。
正しい教えを受け入れ。守ること
正しい教えを熱心に修め、学ぶこと。
誤った見解から遠ざかること。
愚かな悪人を見ても蔑まぬ事である。
これらの十の行為で正しい認識を得る。
また、生き物を地獄に落とす可能性のある十の行為がある。
身体によってなされる重大な悪行、口によってなされる重大な悪行、精神によってなされる重大な悪行。
霊魂消滅論を創出すること。
霊魂不滅論を創出すること。
因果律否定論を創出すること。
行為の結果を否定する論を創出すること、
虚無主義の見解を創出すること、
過激主義の見解を創出すること、
善行の恩恵を無視すること。
これらの十の行為により、地獄に堕ちる。
また、生き物を動物の境涯に落とす可能性のある十の行為がある。
それは身体によってなされる中程度の悪行、
口によってなされる中程度の悪行
精神によってなされる中程度の悪行
貪欲という情念から生じた悪行、
悪意という情念から生じた悪行、
迷妄への執着から生じた悪行。
生き物をののしること、
生き物を憎むこと、
不浄なものを施すこと、
淫蕩を行う事である。
これらの十の行為により、ひとは動物の境涯を得る。
また、生き物を餓鬼の境涯に落とす可能性のある十の行為がある。
それは身体によってなされる軽度の悪行。
口によってなされる軽度の悪行
精神によってなされる軽度の悪行。
多く貪ること、
邪に貪ること、
妬むこと
誤った見解
物的資産に利己的に執着すること。
憎しみから飢えとしようと招くこと、
憎しみから。渇きと非を招く事である。
これらの十の行為により、ひとは餓鬼の境涯を得る。
・・・・・・・ 後略・・・・・
『ブッダのおしえ 初期経典をたどって アンドレ バロー著 富樫瓔子訳 大東出版』引用。
『大正新修大蔵経第一巻 阿含部 第一巻 891頁~893頁 仏為首迦長者説業報差別経』引用
『大正新修大蔵経第一巻 阿含部 第一巻 891頁~893頁 仏為首迦長者説業報差別経』引用
『大正新修大蔵経第一巻 阿含部 第一巻 891頁~893頁 仏為首迦長者説業報差別経』引用
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