因縁果報、因果応報の具体的な内容を説く仏為首迦長者説業報差別経

仏教の教えとは、一言で言えば、

諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教
(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう、じじょうごい、ぜしょぶっきょう)

その意味としては、諸々の悪をなさず、諸々の善いことを行い、自ら心を浄める、是れ諸仏の教えなり。

つまり、簡単に言うと、仏教の教えとは、悪いことはするな、善いことをせよ、また、自分の心を清めよ、それが仏の教えである。という意味だが、その悪い事とは具体的に一体どのような行為が悪い事なのか、また、善い事とは具体的にどのような行為が善い事なのか。さらに、その具体的な悪行為、善行為の果報とは一体どのようなものなのか。その善行為、悪行為の具体的な因果の内容、つまり、あらゆる行為の報いの内容を具体的に説いたお経に仏為首迦長者説業報差別経というお経が存在する。

書籍『ブッダのおしえ 初期経典をたどって アンドレ バロー著 富樫瓔子訳 大東出版』という書籍の中に『仏為首迦長者説業報差別経』というお経の内容が非常に分かりやすく説かれている。

そのお経には善因善果、悪因悪果の具体的な内容が説かれており、非常に参考になると思われるのでここでそのお経の一部を紹介したいと思う。

以下、『ブッダのおしえ 初期経典をたどって アンドレ バロー著 富樫瓔子訳 大東出版』の一部を抜粋して紹介する。

『前略

生き物を短命に終わらせる可能性のある十種の行為がある。

その十の行為とは、

自身で殺生を犯すこと、
他者をそそのかし殺生をさせること、
殺生を称賛すること、
殺生を見て喜びを感じること、
憎んでいる相手の死を望むこと、
敵の死を見て喜びを感じること、
他者の妊娠を中絶させること、
人を傷つけるよう命ずること、
生あるものを生贄(いけにえ)として神殿に捧げること。
戦い、傷つけあい、殺しあうよう、人々に命ずることである。
これらの十の行為により、人は短命を得る。

また、生き物に長寿を得させる可能性のある十の行為がある。
それは、自身が殺生をしないこと、
他者に殺生をせぬよう勧めること、
不殺生を称賛すること、
他者の不殺生を見て喜びを感じること。
殺されようとしている他者を見て救おうと力を尽くすこと。
死を恐れている他者を見て、その心を安らげること。
恐怖におびえる人を見て安心感を与えること、
悲嘆にくれる人を見て、思いやりの気持ちを起こすこと。
苦境に落ちた人を見て、大きな憐れみの気持ちを起こすこと。
生き物に食べ物や飲み物を与えることである。
これらの十の行為により、ひとは長寿を得る。

 

(中略)

 

また、貧しい一生を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは、自身で盗みを働くこと、
他者に盗みをそそのかす事、
盗みを称賛すること、
盗みを見て喜ぶこと、
父母の生業(なりわい)を妨害すること。
徳の高い人や聖者の個人的な財産を横領すること。
他者が利を得るのを見て不服を覚えること、
他者が利を得るのを妨げるために難題を持ちだすこと、
他者が施しをするのを見て喜びを感じぬこと、
飢えた人々を見て、哀れみではなく喜びをいだくことである。
これらの十の行為により、ひとは貧しい一生を得る。

また、裕福な一生を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは、自身が盗みを差し控えること。
他者に盗みをせぬよう勧めること、
盗まないのを称賛すること、
他者が盗みをしないのを見て喜ぶこと。
父母の生業(なりわい)を手助けすること。
徳の高い人や聖者が必要とするものを供給すること、
他者が利を得るのを見て喜びを覚えること、
他者が利を得ようとするのを見て、その援助に尽力すること、
施しを幸せとする人を見て喜びを覚えること、
飢えた人々を見てあわれみを感じることである。
これらの十の行為により、ひとは裕福な一生を得る。

また、誤った認識を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは、賢く知恵ある修行者やバラモンに相談したり尋ねたりしようとせぬこと、
間違った教義を公然と説くこと、
正しい教えを受け入れ、守り、深めようとせぬこと、
不確実な教義を、あたかも確実なように見せかけ、賞賛すること、
ほとんど、あるいはまったく仏法について話さぬこと、
誤った認識に慣れ親しむこと、
正しい認識から遠ざかること、
誤った見解を称賛すること、
正しい見解を捨てること、
おろかな悪人を見て貶しさげすむ事である。
これらの十の行為により、ひとは誤った認識を得る。

また、正しい認識を生き物にもたらす可能性のある十の行為がある。
それは賢く知恵ある修行者やバラモンに相談したり尋ねたりしようとすること、
正しい教義を解き広めること、
正しい教えを聞き、守ること、
確実な教義が説かれるのをみて、それを『よい』といい賞賛すること。
正しい教えを喜びをもって説くこと、
正しい認識の持ち主と親しくすること、
正しい教えを受け入れ。守ること、
正しい教えを熱心に修め、学ぶこと、
誤った見解から遠ざかること、
愚かな悪人を見てもさげすまぬ事である。
これらの十の行為で人は正しい認識を得る。

また、生き物を地獄に落とす可能性のある十の行為がある。
身体によってなされる重大な悪行、口によってなされる重大な悪行、精神によってなされる重大な悪行。
霊魂消滅論を創出すること。
霊魂不滅論を創出すること。
因果律否定論を創出すること。
行為の結果を否定する論を創出すること、
虚無主義の見解を創出すること、
過激主義の見解を創出すること、
善行の恩恵を無視すること。
これらの十の行為により、地獄に堕ちる。

以下省略。』

このように、仏典には因果の道理、行為の果報を詳細に説くお経が存在する。

『大正新修大蔵経 第一巻 阿含部上 大蔵出版 891ページ』

『大正新修大蔵経 第一巻 阿含部上 大蔵出版 892ページ』

『大正新修大蔵経 第一巻 阿含部上 大蔵出版 893ページ』

参考文献

『ブッダのおしえ 初期経典をたどって アンドレ バロー著 富樫瓔子訳 大東出版』

『大正新修大蔵経 第一巻 阿含部上 大蔵出版』

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