恵心僧都源信の著作、「往生要集」が説く輪廻転生の実態

平安時代の天台宗の学僧、恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)は多くの仏典を引用して書かれた自身の著作「往生要集(おうじょうようしゅう)」において、無量無数の生き物たちが無量無数の生まれ変わりをし、また、多くの生き物たち(仏教用語では生き物、生命体のことを衆生(しゅじょう)という)が死後に、人間に生まれ変わっていくよりも地獄界、餓鬼界、畜生界などの悲惨な生命体に生まれ変わっていくことの方が圧倒的に多いことが説かれている。

例えば、恵心僧都源信は往生要集の中で次のように説かれている。

「我等、いまだかつて道を修せざりしが故に、徒(いたずら)に無辺劫を歴たり。

今もし勤修せずば未来もまた然るべし。

かくの如く無量生死の中に、人身を得ること甚だ難し。

たとひ人身を得とも、諸根(※1)を具することまた難し。

たとひ諸根を具すとも、仏教に遭ふことまた難し。

たとひ仏教に遭ふとも、信心を生ずることまた難し。

故に大経(涅槃経)に云く、

人趣(にんしゅ)(※2)に生るる者は爪の上の土の如し。

三途(さんず)(※3)に堕つる者は十方の土の如し。」と。

(※1) 諸根とはものの機能とか能力、機関などの意を包括した言葉で、草木の根のように、感覚を起こさせる五官を眼根(げんこん)、耳根(にこん)、鼻根、舌根、身根といい、心を意根として六根と呼ぶ。その他、女根(にょこん)、男根(なんこん)、命根、楽根、苦根、喜根、憂根をはじめ、さとりに導くものをも信根、慧根などと数える。普通、二十二根という。

(※2)人趣(にんしゅ) 人間界、人間に生まれること。

(※3)三途(さんず)  三途の川(さんずのかわ)、三瀬川(みつせがわ)ともいう。仏教の教えでは、多くの衆生(生き物)は死後、三途の川に流され、その流れ生まれ行く行先は地獄界、餓鬼界、畜生界とされる。

恵心僧都源信(西暦942年~西暦1017年)

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