ブッダは仏典「スッタニ・パータ」の中で瞋恚、怒りについて次のような教えをお説きになられている。
(六二五) 罪がないのに罵(ののし)られ、なぐられ、拘禁(こうきん)されるのを耐え忍び、忍耐の力あり、心の猛き人、かれをわたくしは(バラモン)と呼ぶ。
(※この章句の中のバラモンとは立派な修行者という意味。)
(九三二)諸々の出家修行者やいろいろ言い立てる世俗人に辱(はずかし)められ、その不快なことばを多く聞いても、荒々(あらあら)しいことばを以て答えてはならない。立派な人々は敵対的な返答をしないからである。
また、阿含経の中で、つぎのように仏陀は説かれている。
「かようにわたし(仏弟子)は聞いた。
ある時、世尊(仏陀)は、サーヴァッティ(舎衛城)のジェータ(祇陀)林なる給孤独の園におられた。
その時、世尊(仏陀)は、比丘(仏弟子)たちに告げて、かように説かれた。
「比丘たちよ、まさに一法を断つがよい。
一法を断てば、なんじら必ず、煩悩を滅し尽くして、聖者たることを得るであろう。
その一法とは何であろうか。
いわゆる瞋恚(しんに)(怒り)がそれである。
比丘たちよ、まさに瞋恚を断てば、なんじら必ず煩悩を滅しつくして、聖者たることを得るであろう。」
かく教えて、世尊は、さらに重ねて、このように説かれた。
「瞋恚にかりたてられて、人は悪しき処におもむく。
まさにつとめて瞋恚心を捨つれば、すなわち煩悩滅尽して聖者たらん。」」
南伝大蔵経 相応部経典 七、二、讒謗
漢訳経典 雑阿含経 四二、一一五二
書籍「阿含経典による仏教の根本聖典 増谷文雄著 大法輪閣」参照。
書籍「ブッダのことば 中村元著 岩波文庫」参照。
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