真実を言う事、嘘をつかない事の重要性についてインド哲学の世界的権威、中村元博士は自身の著作『原始仏教の生活倫理 中村元著 春秋社』の中で次のように書かれている。
「ことばは人間にとって本質的なものである。
それだけにまた恐ろしいものである。
「人が生まれるとその口の中に斧が生じる。それによって自己を斬るのである。
愚者は悪口を語るのであるから」ことばを慎むべし。」
ということは繰返し説かれている。
また、社会生活において、相互信頼が大切であるから、偽りを言って人をだましてはならぬ。
「真実を語れ」ということはウパニシャッドにおいて説かれ、もしも真実を語るならば、その人は出身が賤しくてもバラモンに同じであるなどと言われていたが、仏教は特にこの徳を強調し、「真実を語れ」と教えている。
「虚言を避けよ」ともいう。
この文句は、おそらくバラモン教のほうの抒情詩における表現のようなものを受けているのであろう。
聖典のうちにはしばしば虚言(妄語)を戒めている。
それは「わざと意識して嘘を言うこと」を戒めているのである。
「虚言者は地獄に赴くともいい、また言行一致せよ」とも教えている。
・・・中略・・・
「集会所にいても、団体のうちにいても、何人も他人に向かって偽りを言ってはならぬ。また他人をして偽りを言わせてもならぬ。また、他人が(偽りを)語るのを容認してはならぬ。すべて虚妄を語ることを避けよ。」
偽りを言ってはならぬのみならず、他人が偽りを言うのを容認してはならぬ。
すべて虚妄を語ることを避けよ。」
偽りを言ってはならぬのみならず、他人が偽りを言うのを容認してはならぬ。というところに厳しい社会倫理を認めることができる。」
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