観音様や先祖供養による神秘的な救いの体験談についての話

駆け込み寺という言葉がある。

悩み苦しみ、どうにも困って、耐え切れなくなった際、自分自身を助け、受け入れてくれる場所の事を表す。

さて、世の中には様々な悩み苦しみを抱える多くの人々、多くの生き物達が存在するが、その悩み苦しみから人々、生き物達を救い助けるという誓願、誓いを立てておられる様々な仏様、菩薩様、明王様、仏教に帰依した天部の神様が存在します。
そのなかに観世音菩薩という菩薩様がおられます。

書籍「観音開運法 小田隆弘著 密門会出版部」

法華経の第二十五章に妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈、略して観音経、普門品というお経に観世音菩薩のお力をほめたたえたお経があります。

観音経は日本において昔から多くの人々の間で信仰されてきたお経であり、

そのお経には観世音菩薩様の他者救済力としての大神変力(だいじんぺんりき)、念彼観音力(ねんぴかんのんりき)、いわゆる観音様の力を念じる事による救いが説かれています。

準提観世音菩薩様ご尊影(書籍「観音菩薩 変幻自在な姿をとる救済者 佐久間留理子著 春秋社」)参照。

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如意輪観世音菩薩様ご尊影(書籍 「観音菩薩 変幻自在な姿をとる救済者 佐久間留理子著 春秋社」)参照。

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           十一面観世音菩薩様ご尊影

          不空羂索観世音菩薩様ご尊影

 和歌山県の粉河に出現したとされる千手観音菩薩様(粉河寺縁起より)

  和歌山県の粉河にご出現されたとされる千手観音菩薩様(粉河寺縁起より)

日本において昔から現在に至るまで観音信仰は盛んであり、その信仰は特に霊験あらたかであったせいもあり、多くの人々の間で弘まり、観音霊場への巡拜巡礼信仰も現在に至るまで盛んであります。

日本における観音霊場で特に有名な霊場として奈良県の長谷寺、京都の清水寺、東京の浅草寺などがあります。

また観音様は阿弥陀如来様の脇持でもあり、多くの観音様のご尊像の額や頭上に化仏とされる小さな阿弥陀如来像が立像または座像で鎮座しておられます。

観音様と関係が深いお経に延命十句観音経というお経があります。

このお経について、江戸時代、禅宗の一つの臨済宗の中興の祖と称えられた白隠禅師自身が書かれた八重葎(やえむぐら)という書物に観音様に救われた体験記が書かれている。

その救いの体験記が次のように書かれている。

「昔、ある男がいた。ところがある日処刑される事になった。

そして処刑前夜その男の夢に僧侶が現れ

「延命十句経を千返唱えると命は助かる」と夢で教えられ明け方までこのお経を千編唱えた。

ところが同じ処刑前夜に別のある男の夢に観音様が現れ

「この処刑を中止しなさい。そうすれば立派な徳行になるでしょう。さもなくば大災厄がふりかかるであろう」というお告げを聞いた。

またその他の処刑実行者も同じような夢を見た人がおり処刑を中止した」という話がある。

延命十句経に関する霊験談がこの本では他にも書かれていて興味深い。

延命十句観音経は次のようにお唱えする。

延命十句観音経(えんめいじゅっくかんのんきょう)

「観世音(かんぜおん)

南無仏(なむぶつ)

与仏有因(よぶつういん)

与仏有縁(よぶつうえん)

仏法僧縁(ぶっぽうそうえん)

常楽我浄(じょうらくがじょう)

朝念観世音(ちょうねんかんぜおん)

暮念観世音(ぼねんかんぜおん)

念々従心起(ねんねんじゅうしんき)

念々不離心(ねんねんふりしん)」

とお唱えし致します。

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臨済宗 中興の祖 白隠禅師(西暦1685年~1768年)

次に、十一面観世音菩薩様をご本尊として護摩修法をし、霊験を得た話がある。

その話とは、1996年6月モンゴルにおいて十一面観世音菩薩様をご本尊としたモンゴル国十一面観音菩薩開眼法要 世界平和祈願護摩法要が厳修された。

この年のモンゴルは大旱魃で雨がほとんど降らず山火事がモンゴル全土を覆い、百数十箇所以上で燃え広がりその山火事は数ヶ月間燃え続けていた。

さらに、モンゴルは日本の国土面積の4倍近くあり広大な山火事にモンゴル人民は頭を悩ませていた。

日本の仏教教団、阿含宗管長 桐山靖雄師(1921~2016)とその信徒、約400名の方達がモンゴル国のガンダン寺において十一面観世音菩薩様をご本尊とし、モンゴル国の山火事鎮火、世界平和を祈り、護摩法要を勤修した。

その護摩修法後、モンゴル全土において突然大雨が降り出し、数ヶ月間続いていた山火事が数日間で消えてしまった。という。

日本の4倍もの広大な面積を持つモンゴル、1996年2月下旬から、そのモンゴル全土200ヶ所以上の山火事に多くのモンゴルの方々が苦しんでいた。このモンゴルの山火事で日本の北海道と四国を合わせた程の極めて広大な面積のモンゴルの山林、草原が焼失した。

日本の4倍もの広大な面積を持つモンゴル、1996年2月下旬から、そのモンゴル全土200ヶ所以上の山火事に多くのモンゴルの方々が苦しんでいた。このモンゴルの山火事で日本の北海道と四国を合わせた程の極めて広大なモンゴルの山林、草原が焼失した。

1996年6月5日、モンゴル国ガンダン寺においてモンゴル国十一面観音開眼法要、世界平和祈願護摩法要を修せられる阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下。

1996年6月5日、モンゴル国ガンダン寺においてモンゴル国十一面観音開眼法要、世界平和祈願護摩法要を修せられる阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下。

1996年6月5日、モンゴル国ガンダン寺においてモンゴル国十一面観音開眼法要、世界平和祈願護摩法要を修せられる阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下。

1996年6月5日、モンゴル国ガンダン寺においてモンゴル国十一面観音開眼法要、世界平和祈願護摩法要を修せられる阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下。

1996年6月3日、モンゴル全土で数ヶ月間続いている広大な面積の山火事で、北海道と四国を合わせた程の極めて広大な面積のモンゴルの山林、草原が焼失し、まさにモンゴルは国家的な危機状況の中、阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下がモンゴルのジャスライ首相に対し、「明後日のガンダン寺での法要の際、観世音菩薩様に雨が降るようにお祈りします。観世音菩薩様は必ず雨を降らせて下さります。必ず雨が降ります。」と祈りによって雨を降らす事を約束。

そして、モンゴル国ガンダン寺での護摩修法当日未明、ウランバートル市全域に一大雷鳴がとどろき、全市民を驚愕させた。同時に、豪雨が大地を叩き、全市民を歓喜させた。待望の雨の第一陣であった。

さらに、護摩修法後、桐山靖雄大僧正猊下は参拝者の方々の前で、十一面観世音菩薩様がこのように雨を降らせて下さったと語り、十一面観世音菩薩様の偉大なる神通力、お力を称賛された。

その護摩修法後、モンゴル全土ですさまじい雨が降った。

また、モンゴルの文化大臣がこの状況を目の当たりに見、「祈りの力がいかに偉大なものであるかを目のあたりに見て、心から驚嘆しました。」と述べた事を当時の現地の新聞記事が伝えた。

最終的に1ヶ月間は消えないであろうとされていたモンゴル全土の山火事が護摩修法後、モンゴル全土の大雨により6月5日から5日後の6月10日に山火事は完全鎮火した。

モンゴル国 ガンダン寺 モンゴル国立十一面観音世音菩薩像

モンゴル国 ガンダン寺 モンゴル国立十一面観音世音菩薩タンカ

モンゴルの森林火災の完全鎮火を知らせる新聞記事(1996年6月)

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次に、先祖供養について阿含宗の桐山靖雄師は自身の著書「守護霊が持てる冥徳供養」の中で先祖供養の重要性について次のように説かれている。

「昔から、運が悪くなってどうしょうもなくなったら、先祖のお墓におまいりして、一心に先祖の助けをお願いせよ、必ず運がひらく。

という言い伝えがある。

仕事が行き詰まって、ニッチもサッチもいかない。

いろいろともめごとやトラブルが続出して、手におえない。

病人やケガ人の絶えまがない。

等々、どうにも手のうちようがないようなとき、先祖の助けを借りろ、というわけである。

たしかに、この言い伝えは本当のようである。

多くの例を見ているが、カベにつきあたってどうしょうもなかった人が先祖のお墓まいりをして、一心に供養をし、お願いすると、少しずつ運が良くなって、しだいに運がひらいていくそういう例を私は多く見ている。

いったいどうしたら、行き詰まった事態を打開することができるか、どうにも指導のしようもない人に対して、最後のアドバイスが先祖供養である。

「お墓まいりをして、一心に祈りなさい」

それしかいいようがない人が少なからずいる。

それをすなおに実行した人は、必ず、といっていいほど、しだいに運がひらいてゆく。

そういう例を、わたくしはかず多く見ているのである。」とある。

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また、桐山靖雄師は自身の著書「霊障を解く 家運をよくする正しい先祖のまつりかた その②」という書籍のまえがきでも先祖供養の大切さを次のように説かれている。

「運が悪く、まさに苦の連続ともいうべき人々の人生を目にし耳にするたび、またその苦の連続ともいえる人々の様々な相談を受けるたび、なにかいっぺんに運をよくする方法はないものかと長年の間、考えに考え、無数の実例を徴してみて、最後にこれなら誰にでも比較的容易に実践できる運をよくする方法を発見した。

その方法とは

「先祖のお霊をねんごろにおまつりする事。

つまり先祖供養である。

先祖の霊をおまつりすることにより、今までなにをしても運が悪く、悪いこと続きであった人が先祖の御霊をねんごろに供養をすると不思議に運がよくなってくるのである。

子供に関する悩みも水子の御霊を供養すると好転してくる」と説いている。

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さて、その桐山師が若い頃人生の苦悩の末自殺をしようとした事があるそうだ。

そこから救われた体験談が「般若心経瞑想法」や「さあやるぞかならず勝つ⑩」という書籍に書かれている。

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その書籍によると事業の失敗による莫大な借金と結核の再発に見舞われた事により前途を悲観し自殺を決意し自殺を決行しようとした直前,偶然目にした小経本で自殺を思いとどまり生きる事を決意した経緯が記されている。

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その小教本には般若心経や準提観音経そして延命十句観音経等のお経が書かれており準提観音経には

「寂静にして心常に誦すれば一切諸々の大難能く是の人を侵すこと無し」という文言が書かれていた。

桐山管長はこのお経を信じ準提観世音菩薩様のご真言

「のうばさったなん さんみゃくさんぼだくち なんたにゃた おんしゃれい しゅれい じゅんてい そわか」 を何回も何回も毎日唱えていたそうです。

準提観世音菩薩様ご尊影(書籍 「観音菩薩 変幻自在な姿をとる救済者 佐久間留理子著 春秋社」)参照。

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多い時には一日千回ちかくも唱えていたそうです。

そうするとだんだん自身の運気が変わっていき運勢や環境が 良くなっていき自殺する必要がなくなっていったそうです。

その桐山師が書かれた書籍「般若心経瞑想法 桐山靖雄著 平河出版社」のなかで真言、マントラについて次のように説かれている。

「玄奘三蔵訳の般若心経は頭で考えて作った経典ではなく霊感によってほとばしり出た経典であり、ぱぁっと霊感によって出てきた文言をそのまま、文字にして放り出したという感じである。

ことに、さいごに突然、出てきている呪(マントラ)などをみると、強くそういう感じがする。

この経典は経典というより、全体がマントラではないかと思うのである。

この経典作者は観音信仰者だったのではなかろうか?」と解説されておられる。

更にマントラの力と題して真言、陀羅尼について以下のように解説されている。

「マントラ、ダラニは一心に、ただひたすらに、一心にとなえることによって偉大な力をさずけてくれるのである。

マントラ、ダラニに理くつはない。

人間の子賢(こざか)しい知慧を越えた不思議な力がある。

神秘としかいいようがない奇跡を起こす力がある。

ただ一心に心をこめて祈り、誦すればよいのだ。

あなたもそのようにして偉大な功徳をいただいてほしい。」

と解説されている。

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阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下(西暦1921年~2016年)

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真言には準提陀羅尼、つまり、準提観世音菩薩様のご真言があるが、その真言を読誦 唱える事)の功能(功徳 ご利益)として書籍「密教大辞典(法蔵館刊)」、書籍「龍神が翔ぶ 家運をよくする守護神・守護霊の持ちかた 桐山靖雄著 平河出版社」という書籍に次のように書かれている。

「準提陀羅尼経によれば薄福無善根(福徳が薄い)の衆生(生き物)もこの陀羅尼(準提陀羅尼)を誦すれば(唱えれば)菩提分(さとり 等正覚 完全解脱成仏)の根芽(種子 基礎)を生じ決定して菩提(さとり、等正覚、完全解脱成仏)を成就せん(出来る)と云い、

その他、聡明、勝諍論、夫婦敬愛、他人敬愛(他人から愛される)、求児、延命、治病、滅罪、降雨、脱禁鎖等を祈ると験(効験)を得。悪鬼悪賊の難を逃れる事(が出来る)を説く。後略」とある。

この真言の霊験について、真言密教伝持八祖の内の第五祖 インドの高僧、善無畏三蔵の伝記に次のように書かれている。

真言密教伝持八祖の内の第五祖 インドの高僧、善無畏三蔵(西暦637年~735年)

「商人と善無畏三蔵が航海中、船上において商人が盗賊に襲われた際に善無畏三蔵が準提呪の黙誦をすると準提観世音菩薩様が全身のお姿を現され商人を盗賊の難から救った。」とある。

その準提観世音菩薩様は密教の仏様であり別名準提如来ともお呼び致します。

 準提観世音菩薩様ご尊影(書籍 「観音菩薩 変幻自在な姿をとる救済者 佐久間留理子著 春秋社」)参照。

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密教の流派では如来部に属すると主張したりまた別の流派では観音部に属すると主張したりして解釈が分かれています。

この仏様の密教での呼び名つまり密号は最勝金剛ともお呼び致します。

最勝金剛とは最も優れた仏という意味であります。

この仏様は別名七倶提仏母ともお呼び致します。

七倶提とは七億または七千万という意味で、つまり無量無数を意味し、仏母とは仏の母という意味、つまり、無量無数の仏の母という意味です。

「密教大辞典 法蔵館刊」によると

「過去無量の諸仏の母たる清浄陀羅尼を司る尊を七倶提仏母と名ずく」

準提とは梵語のチュンディの音写で意味は清浄という意味でありこのご真言は清浄陀羅尼ともいわれます。

このご真言から過去無量無数の仏様が生まれたと伝えられています。

しかし、世間一般では、観音様は身に見えない存在であるから信じられないという人が多くいる。

真言密教の開祖、弘法大師空海様は自身の著作「弁顕密二教論」の中において「仏様の説法には法身説法という種類の説法がある」と説かれています。

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法身説法とは密教でいう真理そのものとしての仏、大日如来、最高位の仏様がなされる説法の事。

空海様はその「弁顕密二教論」の中においてインドの高僧、龍樹菩薩様の著した著作「大智度論」巻九を引用し法身説法についてこう解説されている。

インドの高僧、大乗仏教の祖、龍樹菩薩(西暦2世紀頃~3世紀頃)

「法身の仏は常に光明を放って説法をしているが罪業が深く、罪が重い衆生(生き物)はその罪の重さ, 業の深さが原因で(つまり過去の無量無数というべき多くの生まれ変わり、死に変わりにおいてなしてきた多くの罪、過去における無量無数の輪廻転生の中でなしてきた多くの罪障罪業が原因で)法身の仏の姿が見えず、法身の仏の説法も聞こえず、その説法の内容も理解出来ない。

その一方、罪業罪障が比較的軽い衆生(生き物)は法身の仏の姿が見え、法身の説法が聞こえ、またその説法の内容も理解出来る。」

と説かれている。

その弘法大師空海様が唐(昔の中国の国名)へ渡り、その唐で密教を学び、その帰国の際の航海中、暴風で荒れ狂う波が船に襲い掛かろうとした時、突如として洋上に巨大な不動明王が現れ不動明王の持つ宝剣が荒波を切り裂き、空海様の乗った船を無事に日本に帰国出来るよう助けたと伝えられています。

この時の不動明王は波切不動明王とされています。

 唐の国に密教を学ぶ為、海を渡る若き日の弘法大師空海(西暦774年~835年)

(※空海様在世当時の平安時代の航海術は現代と違い極めて未熟で船の遭難や沈没が非常に多く、海外への航海はまさに命がけであったとされている。)

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弘法大師空海様の唐の国への航海が無事に唐の国に到着するよう出現され空海様を助けたとされる湧現観音

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弘法大師空海様が船で唐の国から日本に帰国する航海の途上、激しい暴風雨が吹き荒れ、船が荒波にさらわれ大波で船が沈没しそうになった際、突如として洋上に巨大な不動明王が出現され、不動明王が持つ宝剣で襲い掛かる荒波を切り裂いたと伝えられている。その時に出現された不動明王は波切不動明王として高野山に祀られている。

次に、書籍「観音開運法 小田隆弘著 密門会出版部」の中の「観音様に祈る姿に異国の人が思わずうたれた。」という章の中で、著者の小田隆弘 大阿闍梨が、次のような実話を紹介されている。

「日頃の感謝の心をもって生活する人は、けっして自分の利益や得だけにこだわらない人でもある。言い換えれば、他人の為に苦労することもいとわない。「犠牲心」を持ち合わせているのだが、最後に犠牲心についてお話したい。

昭和二十年八月の末のことである。現在、ある都立商業高校の教諭をしているHさんは、父母といっしょに、南朝鮮のある村を海へ、そして日本を目指して歩いていた。

三人ともリュックを背負い、両手に荷物を持っていた。

当時の朝鮮における対日感情は最悪だった。それまで日本が朝鮮を苦しめてきた報いともいえるが、落ちのびる途中で金品を奪われるなどまだいいほうで、下手をすれば命が危なかった時代である。

Hさん一家は、現金や装飾品をバラまくようにして食糧に変え、かろうじて海のそばまでやってきたのだ。

 一面の平地、と思ったのは錯覚だった。夫と子から一歩先を歩いていたHさんの母は、上が草でおおわれた底なし沼にはまり込んでしまった。

 あわてたHさんが母親のそばに行こうとするのを父が押しとどめ、自分が妻に飛びついた。しかし、「母が父にしがみついたので二人とも沈みはじめたのです。」とHさんはいう。

 もともと、村人の目を避ける道をたどってきたので、あたりにはだれもいない。棒きれも落ちていなかった。たとえ、竹竿があったところで、七歳の少年の力では引き上げることはかなわなかったであろう。

 沈んでいく父と母は、自分たちが助からないと悟ったとき、「一生懸命、観音さまに祈りなさい」とだけ言ったという。H少年は泣きながら手を合わせ、一心に祈った。

 父と母が首のところまで沈んだとき、たまたま韓国人の農夫が二人通りかかったという。少年が祈る姿に二人はうたれた。そして、その農夫たちに父と母は助けられたのである。

二人を引きずり上げたとき、韓国人はいったそうであある。

「ほんとうなら、日本人なんてみんな死んだほうがいいんだ。でも、この子が祈っていたから」と。

 中学生になったとき、H少年は「お父さんとお母さんはもとからの観音信者なのか」と聞いたという。答えは否であった。沈んでいくとき、とっさに思いついたのだという。

「そんなわけで、父と母はいまだに僕に頭が上がらんのですよ」Hさんは会う人ごとに人に話すそうだ。彼の父母が、日本に帰ってから熱心な観音信者になったのはいうまでもない。

 あのときHさんの父は、子どものために、とっさに犠牲になったのであろう。この犠牲心こそ、慈悲の心のあらわれにほかならず、それがまたHさん親子を助けてくれたのである。」

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