仏教やヨーガが説く呼吸による感情のコントロール方法(アンガーマネジメント)について

仏教では怒りなどの煩悩を起こす事は自身の福徳を損じ、地獄に生まれ変る原因として怒りや憤り、憤怒の感情を起こすことは強く戒められている。

この怒りの感情を抑えるために、仏教では数息観などの呼吸法が説かれている。

例えば、数息観という呼吸法を説明すると
呼吸を鼻で行い、ゆっくりと心の中で呼吸を意識して数えて行う修行法がある。

つまり、
ひとーつ、(1)
ふたーつ、(2)
みーっつ、(3)
よーっつ、(4)
いつーつ、(5)
むーっつ、(6)
ななーつ、(7)
やーっつ、(8)

などというように呼吸を鼻から、意識的に、深く、ゆっくりと数えて行う修行法である。

呼吸を、意識的に、深く、ゆっくりと行うことにより心のコントロール、感情のコントロールが容易になり、怒り、激情、憤りの感情が鎮まるという。

これは、ヨーガなどでも同様に様々な呼吸法が説かれている。

また、仏教ではお経を声に出して唱える読経というものがあるが、これも一種の呼吸法とも考えられる。

人間、怒ると、呼吸が荒くなる。

心が静まると呼吸も静かでゆっくりになる。

呼吸と感情は、ある種、密接な関連性があるように思える。

一般的に、成人の呼吸回数は1分間に約17回程度の間隔で呼吸をしているとされているが、精神病患者は1分間の呼吸回数が一般人と比べて比較的に多いと書物で読んだことがある。

それとは逆に、ヨーガの呼吸法の達人は一説には1分間に1回程度の間隔で呼吸をするという話を「思念力百科」という本で読んだことがある。

この「思念力百科」という書籍の中で、随意筋と不随筋について説明があり、心臓などの臓器は自分の意志でコントロール出来ない不随筋、一方、自分の意志でコントロール出来る手足の筋肉は随意筋であるが、呼吸という機能は自分の意志でコントロール出来る機能であるが、また、自分の意志がなくとも自然に呼吸する事が出来る。
いわゆる、不随筋、随意筋の両方の機能を兼ね備えている。

この随意筋と不随筋、両方の機能を兼ね備えた呼吸という機能を意識的に行い、コントロールすることで無意識のコントロールが出来るのではないかと書かれている。

仏教の諸経典、ヨーガの経典、ヨーガ・スートラなどでは、様々な呼吸法が説かれている。

呼吸をコントロールする事は感情をコントロールするのみならず、様々な利益があると思われる。

また、古来から現存するヨーガや仙道などでにおいて、呼吸法は口呼吸ではなく鼻呼吸を推奨している。

鼻呼吸の利点として、鼻から空気を吸うと、空気が体内に適した湿度に加湿され、また、細菌やバクリアなど体内に有害な物質を鼻によりろ過され体内に空気が取り込まれる。

それにより体内にはある程度の有害物質が除去され空気が取り込まれる事が可能になる。

書籍「トップアスリートが実践する人生が変わる最高の呼吸法 パトリック・マキューン著 桜田 直美 訳 かんき出版」のなかで著者のパトリック・マキューンは自書の中で次のように説かれている。

「今から1世紀以上前に書かれたヨガの本「呼吸の科学(The Science of Breath)」のなかで著者のヨギ・ラマチャラカは鼻呼吸と口呼吸について次のように書いている。

「ヨガの呼吸法で最初に学ぶことのひとつは、広く行われている口呼吸をやめて、鼻呼吸の方法を学ぶことだ。」

「文明人がよくかかる病気の多くは口呼吸の習慣が原因になっている。」

と書かれている。

また、著者は、自書の中において「鼻呼吸が脳卒中を防ぐ一酸化窒素を増やす」という章を設け、次のように書かれている。

「鼻呼吸の役割の一部を記載すると鼻呼吸は口呼吸に比べ、呼吸への抵抗が約50%大きくなる。その為、呼吸量が減るので体内に取り込める酸素の量が約20%増える。

鼻呼吸をすると、吸い込む空気が温まり、湿度が上がる。

例えば、外で摂氏約6度だった空気は、鼻孔を通過すると、のどの奥に達するまでに約30度に上昇する。そして最終目的地である肺に達する頃には約37度まで上昇している。

鼻呼吸をすると、吸い込んだ空気から大量の細菌やバクテリアが除去される。

運動時に鼻呼吸すると有酸素運動と同じ効果が得られる。

鼻は一酸化窒素の貯蔵庫であり、健康維持に欠かせない気体である。

1980年代までは一酸化窒素は光化学スモッグなどの公害の原因になると考えられていた。

一酸化窒素の重要性が最初に指摘された時にわかには信じられなかった。

体内にあると著しく害になるガスが体内には重要な役割を果たすなんて本当にあり得るのだろうか。

医学会が一酸化窒素に注目するようになったのは最近のことだが、すでに10万以上の研究が行われていて科学者の関心を集めている。

1992年一酸化窒素は科学誌「サイエンス」でその年の分子オブ・ザ・イヤーに選ばれた。

この奇妙な単純な構造の分子は神経科学、生理学、免疫学を統合する働きがあり、細胞同士のコミュニケーションや細胞の防御能力に関する科学界の常識を覆すことになった。

1998年、ある科学者が一酸化窒素が心血管システムで重要な情報伝達の機能を担っていることを発見しノーベル賞を受賞した。

私自身、一酸化炭素について勉強を始めた頃、その利点の大きさに驚いたのを覚えている。

主な器官や臓器のすべてに影響を与えるだけでなく、がんなどの病気を予防する働きがあり、長寿を促進し、さらには寝室でのパフォーマンスも向上させてくれるのだ。

奇妙なことに、一酸化窒素には人生を変えるほどの力があるというのに、医学会の外では、ほとんどその存在が知られていない。

私は今までに、数百人の高血圧、心臓病、喘息などの症状を持つ人たちと会っているが、一酸化窒素の働きを知っている人は一人もいなかった。

一酸化窒素が作られる場所は、鼻腔と、全身に張り巡らされた全長10万 km にもなる血管の内壁。

科学的な研究によると、一酸化窒素は鼻呼吸によって鼻から気管、肺へと送られていく。

世界的に有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所で働く二人の研究者は権威ある医学雑誌「ソラックス」に発表した論文の中で、

「一酸化窒素は人間の鼻の中で放出され、鼻呼吸によって気道から肺に送られる」

と書いている。

体が酸素を取り込む上で、一酸化窒素はとても大切な役割を果たしている。

一酸化窒素には肺の中の気道や血管を拡張する働きがある。

一酸化窒素の利点を生かすには鼻呼吸をすることが不可欠だ。

そして鼻呼吸をするには腹式呼吸にする必要がある。

ここで鼻は一酸化窒素の貯蔵庫だと考えてみよう。

鼻から息をゆっくりすると一酸化窒素という有能な分子が肺と血液に送り込まれそこから全身に行き渡る。

しかし、口呼吸だと鼻の奥にある一酸化窒素を素通りしてしまうため、一酸化窒素が健康に与える利点を生かすことができない。

一酸化窒素はまた血圧の調節、恒常性の維持、神経伝達、免疫機能、呼吸機能でも重要な役割を果たしている。

高血圧を予防するコレステロール値を下げる動脈の老化を防ぎ、柔軟性を保つ。動脈瘤を予防するなどの働きもある。

これら、全て心臓発作と脳卒中の予防につながる。

また一酸化窒素には抗ウイルスの働きがあり、あなたの体を守ってくれる。

そのため病気のリスクが減り全体的な 健康状態が向上すると考えられる。」

 

書籍「国訳一切経 印度撰述部 経集部四 大東出版社」参照。

書籍「国訳一切経 印度撰述部 阿含部八 大東出版社」参照。

書籍「国訳一切経 印度撰述部 阿含部八 大東出版社」参照。

書籍「国訳一切経 印度撰述部 阿含部八 大東出版社」参照。

書籍「国訳一切経 印度撰述部 阿含部八 大東出版社」参照。

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