真言宗開祖、弘法大師空海様の晩年の著作である「秘密曼荼羅十住心論第一巻」において中絶(ちゅうぜつ)、堕胎(だたい)の果報、業報について説かれている箇所がある。
そのなかで空海様は雑宝蔵経(雑蔵経 大正新修大蔵経 第十七巻 経集部四 五五八頁)というお経を引用し次のようにお説きになられている。
そのお経の概要は
「一人の鬼あり、その鬼が仏弟子である目連尊者に対してこう問いかけた。「私の身体は常に肉の塊にして手、脚、眼、耳、鼻等あること無し、
つねに多くの鳥達に体をついばまれ、食べられ、耐えられない程苦しい。
何が原因でこういう苦しみに遭(あ)うのか」
目連尊者は答えて言った「あなたは前世(前生)においてつねに他者に薬を与え他者の胎児(たいじ)を堕(おろ)した。
胎児を中絶させた。
胎児を殺害した。
このような行為、因縁、業報により死後、現在においてこのようなひどい苦しみを受けている。
これは(あなたが作った)果報、行為の報い、罪の報いであり、地獄の苦果、苦しみはまさに後身にあり(果報の報いはあとになって受ける)」とある。
(鬼という言葉は死者を意味する。昔は死ぬ事を鬼籍に入ると言った。)
真言宗開祖 弘法大師空海
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秘密曼荼羅十住心論 (原文)(弘法大師空海 著)
書籍「日本思想大系 空海 川崎庸之 (校注者) 岩波書店」参照。
書籍「日本思想大系 空海 川崎庸之 (校注者) 岩波書店」参照。
書籍「弘法大師著作全集 第一巻 弘法大師(著) 勝又俊教(編)
山喜房仏書林」参照。
佛説雑蔵経 参照。
書籍「国訳一切経 印度撰述部 経集部十四巻 大東出版社」参照。
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