仏事の際、仏壇やお墓で香を焚き、お供え物をお供えする意義について

仏教では霊の事を食香(じきこう)と呼び、食香の事をサンスクリット語でガンダルヴァ(gandharva)と呼ぶ。

ガンダ(gandha)とはサンスクリット語で香を意味する。

つまり、ガンダルヴァ(gandharva)とはそのガンダ(gandha)、いわゆる香(かお)りを食する存在を意味している。

よく仏事の際にお供え物を供え、線香を焚くが、その主たる目的は霊に香りを食して頂く事が目的である。

仏教の教理教学を体系的にまとめた倶舎論(くしゃろん)という仏教論書の中で、霊について次のように説かれている。

「精血等の所有の外縁が合して成ずるものでなく、意より生ずるが故に意生(いしょう)(と呼ばれ、又は意生身(いしょうしん)とも呼ぶ)、常に喜んでこれから生まれるところを尋察(と呼ばれ)、探し求めるところから求生(ともいう)。

また、香食に資(たす)けられて生処に往(おもむ)くから食香(と名づけられ)、二趣(この世とあの世)の中間の所有の蘊(うん)なるが故に中有(ちゅうう)ともいう。

そしてこれから生まれるべき生に対向して漸時、起こるが故に起ともいわれる。」

さらに倶舎論によると中有は母体に入るのだが腹を破っているのではなく「陰門より入る」ともいう。

さらに、倶舎論巻九にその中有の相(すがた)を説明して

「見るべからず如く、触れるべからず。中有の身はごく微細なるをもっての故に。」

「ただし、もしも極浄天眼を修得するならば、よく見ることを得。

諸生は眼を得るもみな観ることあたわず、ごく微細をもってのゆえに」

つまり、中有の存在を見ることが出来る人は極めて少ないが、その中有の存在を覚知する眼、いわゆる霊眼を持っている人がごくまれにいる。その霊眼を持つ人はその微細な姿をした中有の存在を見ることが出来ると説かれている。

ところで、江戸時代後期、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)によって書かれた書物の中に「勝五郎再生記聞」という書物がある。

その中で書かれている話は実話であったらしい。

その主な内容は、江戸時代に勝五郎という名の子供がいた。

その子供は自分が生まれる前の記憶、つまり、前生の記憶を有していた。

つまり、勝五郎は勝五郎のお母さんから生まれる前の記憶を鮮明に覚えていたという。

すなわち、勝五郎は自分が産まれる前、つまり、勝五郎が肉体を持たず霊体であった時、勝五郎の家の中、いわゆる勝五郎の両親、家族たちの話声が聞こえていたという。

また、生まれてからもその内容を覚えていたという。

また、勝五郎はお母さんのお腹の中に霊体として入る前、しばらくの期間、家の中の周囲に居た。そして家の中の仏壇に供えられた牡丹餅(ぼたもち)の香りを食していたと語った。

そして、勝五郎はよく周りの家族たちに

「仏様、お坊様に温かい食物を布施する事を忘れてはいけません。これは大変功徳になることなんだよ」と言っていた。とある。

さて、仏教には追善供養というものがある。

追善とは亡者のために追って善事を修して福を薦め、その冥福を祈る事。

人の死後四十九日の間、亡者の霊は中有に迷って果報、転生先が定まらないので遺族、僧侶が善根を追修、回向してその功徳を亡者に捧げ、三途の苦報を免がれさせようとするために追善供養を行う。

ただし極善の者は四十九日間を待たずに直ぐに仏界、天上界に直行し、極悪の者は直ぐに地獄界へ直行するとされている。

追善供養は人の死後、七日ごとに初七日忌、二七日忌、三七日忌、四七日忌、五七日忌、六七日忌、七七日忌つまり四十九日忌を行う。

また百日目の百カ日忌、一年目に一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などに法要を営みその功徳を亡者に回向する。

仏教には死者に対しての追福追善の報恩行、冥福を祈る宗教行事がある。

仏教の経典に「梵網経(ぼんもうきょう)」というお経がある。

その中に不救存亡戒(ふぐそんぼうかい)という戒律があり、それによれば仏教信者は慈悲の心を持って全ての生者、死者に対して慈悲の行為を行わなければならない事が説かれ、特に父母兄弟等の家門の親しい先亡精霊に対し、冥界における幸福を助けるための宗教行為に勤めるべきことを勧めている。

参考文献

「守護霊を持て 桐山靖雄著 平河出版」

「講座 仏教思想 第七巻 理想社」

「地獄の話 山辺習学著 講談社学術文庫」

「君は誰の輪廻転生か 桐山靖雄著 平河出版」

「仙境異聞 勝五郎再生記聞 平田篤胤著 岩波文庫」

「異界見聞録6 平田篤胤著 勝五郎再生記聞 前世の記憶を持つ子どもの話 現代語超編訳版 西田みどり著 知玄舎 異界見聞録シリーズ」

「葬式仏教 圭室 諦成著 大法輪閣刊」




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